4話

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「まあ待てよクソガキ、お前がダガーをやったて言うんなら俺が直々に殺してやるよ。だがそこの小娘と、我が弟の戦いを見てからでも遅くはねえだろ?」 「戦い? 何言ってんだ?」 「なんだと?」 「あんな奴とルージュじゃ戦いにすらなんねぇよ」  剣戟の音が響き、ルージュとハンドは斬り合う。  だがその戦いは、一目でどちらが優勢かわかる程に差があった。  ハンドの剣、オークファミリー一の剣豪を自称するだけあり、その剣筋は鋭く速い。  しかし剣は空を切るだけで、ルージュにかすりもしなかった。  一方ルージュは、完全の見切っているかのように最小限の動きで刃を避け、時折隙を見てはハンドの四肢に切傷をつける。 「クソッ!」  たまらずハンドは後ろに飛び、十メートルほど距離をとる。 そしてクラウチングスタートのように体勢を整え剣を構えた。  ハンドの数々ある剣技の中でも最強の型。  開いた間合いを最速で詰め相手を貫く。  今まで防いだ者は居ない最強の技。 「くたばりやがれ!」  大地を蹴り、間合いを詰める。  十メートルはあった間合いが一瞬で消え、ルージュの喉を貫こうとしたその瞬間――  ハンドの頭が撃ち抜かれた。  ハンドの頭を貫いた弾丸。  それは近くにいた伽羅の放った弾丸。  完全な不意打ち。  体勢を崩し、意識を失って無防備になったハンドの肉体。  ルージュは、容赦なくそれを切伏せ決着した。 「なっ、卑怯だぞてめぇら! よくも俺の弟を!」  当然のように慌てふためくジキル。しかしカズは呆れたようにため息をつく。 「卑怯だって? お前誰を相手にしてるつもりなんだ?」 「なんだと?」 「アタシ達は海賊よ、まさか正義の味方を相手にしてると思った?」  確信を突かれたジキルはうろたえる。  その隙をつくようにカズは飛び上がり、ジキルの顔を拳で打ち抜いた。
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