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「俺の、負けだ、もう、いいだろ……」
勝てない。
それだけは理解できたジキルは、自ら降参の意思を告げる。
だがカズはそれを歯牙にもかけず、無理やりジキルを立ち上がらせると再び拳を打ち込んだ。
ジキルにはもう、鉄の味と痛みしか感じない。
いつの間にか牙は二本とも折れ、右腕は何も感じなくなっていた。
悲鳴を上げる体をむりやり動かし、ジキルは座ったままカズを見上げる。
「た、頼む、助けてくれ……この星から出て行くから、謝るから……どうか命だけは……」
「お前が謝ったら、あいつの親父は生き返るのか?」
「へ?」
「もう遅いんだよ、お前が謝っても、あいつの親は生き返らない」
そしてカズは――拳を握る。
「だから、俺はお前をぶっ殺しに来たんだ!」
「たっ助け――」
叫びも虚しく、ジキルの言葉はカズの拳によって止められ、
打ち抜かれたジキルは、地面を水平飛行し、
かつて拠点にしていた瓦礫に激突した。
ジキルの意識はもう無く。
戦いは終わった。
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