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カズはこれまで出会った種族の話をし、ルイスにはまるで作り話のようにすら聞こえた。
「あははは、本当に変わった種族がいるんですね。っともうこんな時間、話してくれてありがとうございますカズさん。僕はもう仕事に戻らないと」
「よし、じゃあ頑張って『星の石』見つけてこいよ!」
「はい! じゃあ行ってきます!」
上機嫌で向かうルイスを見送ると、ルージュは周囲に聞こえないよう小声で口を開く。
「カズ、あんたは見た感じどう思う?」
「いやぁクラウスさんはいい人なんだな、宇宙に連れて行ってくれるなんてさ」
「そう思う?」
「どうしたんだルージュ?」
「いや、どうにもキナ臭くてね、あの社長裏がありそう」
「そうか? 俺は何も思わなかったけど」
「あんたは考えなさすぎなの! だいたいね、こんな星で――」
「それよりも腹減ったな~食堂ってあの辺りだっけ?」
「聞きなさい……って言っても無駄か」
ルージュはカズの後に続いて食堂へ向かった。
すでに時刻は十二時を回っている。
いくら働き者であるジャスク人でも十二時を過ぎて働く者はない。しかしルイスはまだ一人横穴の奥で掘り続ける作業をしていた。
「まだ居たのか」
穴を掘り続けていると入り口から声をかけられ、振り向くとそこにはカズがいた。
「カズさん、どうしてここに?」
「戻ってこないから死んだんじゃねーかなって思ったけど、なんだ生きてるじゃん」
「勝手に殺さないでくださいよ」
笑いながら返し、穴を掘る作業を続ける。
「お前はさ、なんでそんなに宇宙に行きたいの?」
横穴の入り口に腰かけてカズは尋ねる。
「僕の夢だからです、僕はずっと地上から宇宙を見上げることしかできなくて、でも宇宙にはいろんな物があるんでしょう? 想像できる全ての物が宇宙にはきっとあるって本で読みました。それくらい宇宙はひろいんでしょう? 僕はそれを想像して以来、宇宙の虜になっちゃいました変ですかね?」
「変じゃないさ、俺だってそうだ。俺も宇宙を夢見て宇宙に飛び出した。俺もお前と同じだよ」
「ははは、ありがとうございます」
「じゃあ俺は外で待ってるから」
「いいですよ、そんな」
「気にすんな」
そう言ってカズは穴の近くで横になり目を閉じた。
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