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とにかく辰巳は飲む酒をころころと変える。家ではともかく、外で飲むときはそれはもう一杯ごとに違う酒を飲んでいるくらいに。現に今も、ウイスキーに始まり二杯目は焼酎をロックで、三杯目の現在は日本酒が辰巳の前には置かれていた。
「辰巳がすぐにお酒を変えるのは、飽きっぽいから?」
「どうだろうな。気にした事もねぇが、言われてみりゃあそうなのかもな」
「女性もころころ変えるタイプという訳だ」
「特定の相手作ってねぇんだ、そりゃあそうなるだろぅが」
「今は?」
「はぁ? 何だよお前、嫉妬はすんなよ。お前の嫉妬はシャレにならねぇ」
ごつりと、フレデリックの蟀谷を拳で小突く辰巳の顔は予想以上に渋かった。その原因が、三年前の出来事に起因しているだろう事は考えるまでもない。思わず、フレデリックは笑いを零す。
「今は僕だけ?」
「勘弁しろよフレッド。お前みてぇなおっかねぇの相手に浮気できる奴がいる訳ねぇだろう」
「それじゃあ僕がキミを脅してるみたいじゃないか…」
「脅されなくっても、俺ぁ親父ほど色恋沙汰に興味はねぇよ。ツレなんぞ一人いりゃ充分だろ」
頗る渋かった顔が一変、ふっ…と辰巳の目元が緩んだかと思えば、大きな手が優しくフレデリックの頭を撫でる。
「お前を失くしたくねぇって言わなかったかよ?」
「辰巳…」
「お前こそ、ネット漁りゃ女の肩だの腰だの抱いた写真ばっかだろぅが」
「っ…それは…嫉妬かな?」
「されてぇのかよ?」
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