マフィアは孤独に恋を謀る。

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 案の定、空になった食器が片付けられたテーブルの上には設楽の手によって小さな袋がひとつ置かれた。中に入った白い粉が何であるのかは、言わずもがなだ。  辰巳の武骨な指が、非合法の薬の入った小さな袋を摘まみ上げる。 「くくっ、ついにクソ親父も金に目が眩んだか?」 「冗談はお前だけで充分だよクソガキ」  相変わらず酷い言い合いだと思いはするが、まぁこれも愛情の裏返しなのかとフレデリックは辰巳と匡成の遣り取りを微笑ましく見つめる。以前にも一度、辰巳と一緒に仕事を手伝わされた事のあるフレデリックを、匡成は追い出そうとはしなかった。  正直なところ、辰巳がこちらの事情に薄々感付いている事はわかるが匡成の方は何を考えているのか分からない。どうにも掴みにくい男だというのがフレデリックの匡成に対する印象だ。 「それで? 俺にどうしろってんだ。出所探れとでも言うつもりかよ」 「まぁ、そんなところだ。ついでに面倒事の種は潰しておけ」 「ったく、人使いの荒いこったな」  そう言って、辰巳は詳しいことを聞こうともせず立ち上がる。 「行くぞフレッド」 「もういいのかい?」 「用件が知れりゃ長居する理由もねぇよ」     
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