第二章 裁きのとき

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 桃缶がここまで浮いている絵面も珍しい。  そこへ、何台もモニタをつなげたコンソール席で作業にあたっているスタッフ二人のうちの一人が、和やかな雰囲気を壊してすまないと言わんばかりに神妙な顔を向けてきた。 「つないで」と桃缶青年。  マイクを通して若い男性の声が聞こえてくる。 〔お疲れぃ、皆の衆。食事混入かダイレクト・インジェクション(直接注入)か決まったかぁ?〕 「D.I.で」 〔えー、食事混入のほうが良かったなぁ、俺。ラクだし〕 「生半可な気持ちでことを成すなかれ。より確実性のあるほうで執行する」 〔……イヤ、この前は混入って言ってたやん。なんで急に計画変更?〕 「うちのカワイ子ちゃんを怖がらせた罰、かな……ね、ノエル?」 〔えぇぇ、ノエルを怖がらせたの!? いつも相手を怖がらせる側のノエルが!?  そんなすごい禍気だったの、あの標的?〕  弐野原ノエルは、人間には気取れない気を読む能力がある。なぜなら彼女は……。
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