第二章 裁きのとき

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「お黙り、白痴。その天狗下駄の歯引っこ抜いて、口ン中に突っ込むよ!」  若い男=白雉(はくち)が小型マイクの向こうで身を竦める。 〔おぉ怖っ。誰が誰を怖がらせたって? それと! 俺、白雉↓。白痴↑ぢゃないから〕  ノエルと白雉の言い合いは日常だ。マイクを介してのこのやり取りから判ずるに、ノエルの恐怖心はすでに払拭された模様。 「いつも通りの元気なノエルだ。直後はふさぎ込んでしまって、大好きな鶏肉にも手をつけなかったもんね。僕、自宅に戻ってから猛省したんだよ? いやぁ、よかったよかった。  ……そういうわけだからパクチー、あとはよろしく。失敗は許されないよ? もし失敗したら、雉鍋にして食ってやるからそのつもりで」 〔誰がパクチー!? 俺様を誰だと思ってるのさ……っていうか、ピーちゃん怖い。鬼だよまさしく〕  交信はそれきり途絶えた。そして――。
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