第一章 女弁護士の最終確認

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「号外! 号外! ○△市女子中学生生き埋め殺人事件の被告:少年A(14)に逆転判決! 懲役20年! 死刑判決から一転、懲役20年! 検察側は上告を断念! ○△市女子中学生生き埋め殺人事件の被告に懲役20年!――」  新橋西口SL広場を行き交う人々が、こぞって号外を受け取りにいく。  東京駅周辺、有楽町、銀座数寄屋橋交差点 新宿西口、南口、アルタ前、渋谷……関心度はさまざまだろうが、みな一様にタブロイド版の白抜きタイトルを注視する。  周辺の様子と紙面を撮影し、すぐさまTwitter投稿する者も複数人見受けられる。  LED電光掲示板やビル壁面に設置された大型ビジョンにも、ニュース速報が流れる。  大型ビジョンが映し出すのはTVのブレイキングニュースだ。  女性アナウンサーが神妙な顔で誰とはなしに語りかける。 【記者会見で検察の上告断念が伝えられると、遺族はその場で泣き崩れ……】 * 12年後。某少年刑務所面会室 「やあ、元気そうだね」 「ありがとうございます。弐野原さんもお変わりなさそうで……嬉しいです、僕」  26歳になった日下部宣久服役囚は、ややはにかみながら面会人に丁寧に挨拶を述べた。 「うん、ありがとう」  ニコニコと応じる面会人――弐野原ノエル――日仏ハーフ、秀外恵中(しゅうがいけいちゅう)の女弁護士が明るく応じる。
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