第一章 女弁護士の最終確認

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 無表情に手続きをこなす守衛(女性)ににっこり微笑むと、ノエルは所外に出た。  スカーフを首に巻きながら、まだ敷地内ではあるため、偏光グラスで被われた視線を一帯くまなく走らせる。 〈そんなにキョロキョロしない! 不審者に見えちゃうよ?〉  敷地を出てすぐ前を走る古びた道路のはす向かい、舗道に片輪を乗り上げて停まっているグレーのワンボックスカーが見えた。  小走りで道路を横切るノエル。  すると、彼女が車に到達する前にスライディングドアが開き、内部(なか)からインテリ然としたメガネ男子が顔を出した。  急いで車に乗り込む弐野原ノエル。  ようやくホッとできるとばかりにサングラスを外し、ダッシュボードに投げ置いた。 「ハイ、コーヒー。お疲れちゃーん♪」  やけに陽気な人物を恨めしげに見つめる。  コーヒーマシンのコーヒーが、一杯一杯丁寧にドリップしたコーヒーなみにおいしく感じる。  かき乱された心が少しずつ落ち着きを取り戻していくのをノエルは実感した。
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