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タツオは骨身にしみて理解した。
つい30分ほど前まで、笑って話していた友人のばらばらに千切れた肝臓や大腸を見せつけられる。それが戦場だ。
コックピットのなかで緊急アラートが鳴った。戦術支援AIオモイが少女の声で警告する。
「雷光22により当機はロックオンされました。感覚遮断をおこない、速やかに当雲山改から離脱することをお勧めします」
タツオは穏やかな声で、オモイにいった。
「いや、このままでいい。ジャン・ピエールの半分でもいいから、あの苦痛に近づいてみたい」
タツオは雲山改の両腕をあげて、ミサイルの着弾を待った。
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