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ジャン・ピエールは空中に揺れながら静止する雷光22をロックオンすると、ためらうことなくミサイルを発射した。白く煙の尾を引いて、小型ミサイルが空を駆けていく。最初はこのまま地上に落ちるのではないかというくらいの低速だった。発射直後のミサイルは蠅がとまれるほどの速度に感じられるものだ。味方が撃った場合はとくに。
タツオは叫んだ。
「当たってくれ。落ちろ、雷光」
空中にいた地上攻撃機2機は左右に分かれ、緊急退避行動に移った。敵までの距離を半分ほどに縮めたところで、ロケット推進の加速度が目に見えて上昇していく。
同時に敵の雷光22も垂直離着陸機の性能をフルに発揮して、姿勢を変えずに空中を滑るように横にずれていく。
「あー、くそっ、ダメか。逃げられる」
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