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クニが操縦桿を叩いて叫んだ。駐機場に爆薬を仕掛けながら、こちらの状況を注目しているようだ。
そのときミサイルが横スライドしていく右側の雷光22にむかって、急激に角度を変えた。人間が搭乗している飛行機では到底不可能な進路変更だった。轟4は低価格だが熱源追尾型でロックオンが可能だ。
タツオは静かにいった。
「当たる」
ミサイルが着弾すると、そこには炎以外なにも存在しなくなった。飛行機もミサイルも消えて滑走路の半分を照らしだす巨大な火球が空中高く生まれている。一瞬、地上に太陽が生まれたようだった。
タツオは身体のなかを駆け巡る歓喜に震えていた。これほどの肉体的快感は、ほかのどこにいっても得られないのかもしれない。戦場には異常な興奮と快楽が確かに存在する。
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