73人が本棚に入れています
本棚に追加
「私、その、霊感が強くて、この部屋に入ると立って居られなくなるんです」
「そうなんですか、僕は大丈夫です、さぁ、手を貸しましょう」
俺は相変わらず姉ちゃんの胸元に視線を向けたまま、姉ちゃんに手を差し出した。
なるほど、案内する姉ちゃんのこの有様を見たら、流石に誰も買わんだろう。
俺の手を借りて立ち上がった姉ちゃんは、もう居た堪れないと云う風に部屋から、そして建物から外に出て行く。
俺はその部屋を丹念に調べてみる。
この部屋、洗濯物を室内で干せる様、ワイヤーで天井に収納出来る物干し竿が装備されている。
多分、以前の持ち主は、これを利用して首をだ吊ったのだろう。
俺は霊感など皆無だ。
そもそも、霊なんてものすら信用していない。
俺の興味は前の持ち主が首を吊った事実より、何故、こんな立派な家を建てて直ぐに首吊り自殺をしたのか、そちらに向いた。
最初のコメントを投稿しよう!