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パシッ!
パシッ!
バチコォォォォーーーン!
俺はカウンタックだの、テスタロッサだの、イタリアの某自動車メーカーの車名を煩悩いっぱいで叫ぶその坊主の頭を三回しばいた。
「な、何をする!この無礼者!」
「黙れこのパチモン生臭坊主!いいか、てめぇ!心を残して死んだ人間には、それなりの事情ってもんがある筈だろうが!勝手に悪霊なんて決めつけるな!」
俺が藻道をしばいて叫んだその瞬間、蛇口から噴き出していた水が急に止まり、辺りはそれまでの喧騒が嘘の様に静謐に立ち返る。
「おい、坊主」
「あ、は、はい」
「真っ当に生きろ」
「・・・」
「おい、姉ちゃん」
「は、はい」
「織田無道ですらインチキなのに藻道なんてパチモンに決まってんだろうが、もっと物事、真っ当に考えろ!」
「・・・」
姉ちゃんに小言を言って振り返ると、織田藻道はコソコソと路地の彼方に消えていた。
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