君は自称魔法少女

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 ついこの間から同居することになったまりんはなかなかにイカレた女だ。  僕とまりんは恋人でもないし、家族でもなければお友達でもない。というか友達なんかになりたくもない。  なにしろあいつは、自称「世界を守る魔法少女」なのだ。その設定を守るため、こうして夜な夜など派手なコスチュームに身を包み夜のパトロールへと繰り出している。  本人は正義の戦士だと言い張っているが、どちらかと言わずともご近所の平和を乱す不審人物だと思った方がいい。パトロールするよりはむしろ徘徊して職質にでもあってるのがお似合いだ。  玄関に鍵をかけながら、僕はあいつの行きそうな場所を頭の中にリストアップしはじめる。  あいつがうちに住み着くようになってから、ずっとこの調子だった。  最初の三日は大人しくしていたまりんは、ある夜「出かけてくるりん」とか言って奇天烈な服に着替えて、僕の制止も気にせず行き先も言わずに出かけていった。結局まりんは朝まで帰ってこなかった。次の日もその次の日も。
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