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「高校生とこんなことしといて今更?」
隠す気配もなく尖らせている胸先を指で弾いてやったら、椎名さんがタバコを唇から引き抜いて少しむせた。
「……でもそれは法律で禁止されてなくない?」
「淫行条例とかあるんじゃないんですか。別に私はあんたがどうなろうと興味ないけど」
「そういうこと言っちゃうんだー」
ひどーい、なんて口を尖らせたところでかわいくもなんともない。
「でもアイに年齢も性別も関係ないよね? それからケツエ……ああゴメンやっぱいいや」
わざとらしい言い方に、こちらもせいぜい芝居がかった仕草で肩をすくめてみせた。
「なんのことだか、ワカリマセンけど。そもそもアイなんてどこにもないだろうが」
今度こそ本当に振り返らずにドアノブに手をかけた私に、喉の奥でクツクツ笑っていた椎名さんが「じゃあ、またねー」なんて何も考えてなさそうな声をかけてきた。
返事のかわりに私はドアをバタンと叩きつけるように、閉じた。
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