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トライアングル・マヨネーズ
白くて濁っていて、液体というには重たくて、固体というにはやわらかい。
胸の悪くなるにおいのするそれを好きだと姉さんは言った。
姉さんの赤く色づいたくちびるの端についた白いクリームを、濡れた舌先がぺろりと舐め取るさまを思い出して、うっと私はちいさく呻く。
「どうか、したの?」
息も絶え絶えに目を細めて女が私を見上げてきた。
その声が顔が、うごめく腹が癇に障って、私は勢い任せに中指を突き立てる。
ぐずぐずに熟れた柿だとか。
つぶれたトマトの中身とか。
ちょっと力を込めたら、握りつぶせるんじゃないかと思う。
そういう、内臓の入り口の。
「あっ、ちょっと……! え、えっ?」
疑問なのか不満なのか分からない声を上げて、女のゴムボールみたいな胸がはずむ。私はそっと顔を寄せて、その先端に強く吸いついた。
やだとかとんじゃうとか甘ったるい声で誘う女に二本目の指を突っ込んでやって、熱く溶けた壁をくすぐる。
くすぐりながら、親指で転がす。
確実に、私も前より器用になってきてる。
乳首から唇を離して、私は女の耳元に囁きを注ぎ込んだ。
「食べ物の趣味と女の趣味って、相関関係あるのかなあって思って」
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