1人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
「お待ちしておりました。勇者様方」
急に開いた扉に目を向けると、そこにはたくさんの屈強な兵士たちと、豪華な服を身につけた女性が入ってくるところであった。
女性は俺たちと同じ年ぐらいだろうか。
透き通った赤色の髪が特徴的でとても綺麗な顔立ちをしている。
「あの……一体ここは?」
流星が代表して尋ねた。
「ここは、ローデン王国。突然のことで勇者様方も混乱しているとは思いますが、あなた方にとって、ここは異世界とも言えます」
「なっ……い、異世界だって!?」
異世界という言葉で絶句するクラスメイトたち。
何人かはすでに察している者がいたようだが、あまりにも突拍子のないことにそのほとんどは視線をさ迷わせていた。
怖がってうずくまっている者もいる。
俺はこんな展開になるようなアニメに詳しい颯に、こっそりと聞いてみた。
「なあ、こういう場合ってこのあとどうなるんだ?」
「うーん、まあ一番多いのは魔王を倒してくれってお願いされることかな」
「最悪じゃねーか」
そんな俺たちの会話も気にすることなく、流星は赤い髪の女性に質問を続けていた。
「あなた方の目的は?」
「一年前に復活した魔王を勇者様方に倒していただきたいのです」
「魔王?」
颯の予想通りすぎて怖い……。
「はい、悪魔の使いとも言われる魔族を操り、人間を躊躇なく殺そうとする存在です。魔族は人間よりも何倍も身体能力が高く、現在も危険な状態なのです」
「いや、でも……俺たちにそんな力はありません。ただの高校三年生ですよ!」
「大丈夫、勇者様方はここにいる兵士より強いです。こちらの水晶に触ってみてください」
「これは?」
「能力結晶と呼ばれています。触った者の強さを数字に変えてひょうじしてくれるのですよ」
そう言われて流星は恐る恐る触ってみると、まるでゲームのようなステータスが空中に現れた。
星野 流星
勇者 レベル1
魔力:3.4
力:4.1
防御力3.9
素早さ:3.6
最初のコメントを投稿しよう!