ルーナ戦記ことはじめ

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 「そうでもないかもしれません」  「え」  「メイは、何を研究しているのですか?そのために、トランシルバニアにおいでになったのでしょう?」  「ええ、まあ。ただ、月並みですよ。民俗学的な調査をしています」  「それで、世界中を?」  「ええ、教授のお手伝い方々、僕自身の研究の取材も含めて、やっています」  「民俗学・・ですか」  「ええ、とても興味があるような学問だとは思えませんが」  「そうですね」ルーナは、はっきりといった。「しかし、仕事なら別です」  「仕事、ですか?」  「日本へのお忍びも、新しくできたディズ*-ランドの視察で。とても、あんなお金をかけた設備はできませんが、それを参考に、この国を夢のランドにすることができないかと」  「日本には、何度も?」  「ええ」  「もしかして、趣味と実益を兼ねて?」  「わかりますか」  「ええ、なんとなく。欧州の人が、ああいうのは軽蔑しているかと思いましたが」  「否定はしません。日本のアニメは評価できるのですが、アメリカのカトゥーンにはなじめません。だからでしょうか、本国のものより日本のランドのほうが、参考になる気がしているのですよ」  「そうでしたか」  「だから、そんな夢のランドのネタになりそうな情報には、アンテナを広げないといけないと常々思っているのですが、なかなか機会がなくて」  「熱心ですね」  「いずれ、この国を私が担わなくては成らないでしょうから。いえ、まだ十年くらいは大丈夫でしょうけど」  「僕の研究は、エンターテイメント向きではないと思うのですが」  「それを、娯楽にするのが、ウデというものです。ドラキュラ伝説だって、話だけ聞けば、人を恐れさせるだけですからね」  「それは、プリンセスにお任せします」  「任せてください。では、ご一緒に・・」ルーナは、すっと立ち上がっていった。  「え、僕の報告書を待つとかじゃないのですか」  「ええ、どういう調査をされるのか、興味がありますし」  「しかし・・」  「海外ならまだしも、この国の中で私にガードマンはつかないので、お邪魔には成らないと思いますよ」
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