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では、どうやって、神話のナゾを推理するのか。
まずは、『古事記』に書かれている順番に、できるだけ平明な現代語に置き替えた、私の訳を載せます。そこには、なるべく私の勝手な解釈がふくまれないようにしたいと思っていますが、とはいえ、何の解釈もなく、訳をそのまま読んでも、なんだか意味がよく分からないことが多いかと思います。神話は、その時代に生きた人々が、自分が生きている世界の成り立ちを描いたものです。「世界観」「宇宙観」と言ってもいいと思います。そこには、その時代の人にしか意味を為さない物の見方や、言葉の使い方や、比喩や詩的表現がたくさんふくまれていて、それで、現代の言葉に移し替えるだけでは、何を言っているのかよく分からないのです。
そこで、よく分からないところを噛みくだいていきながら、さらに、素朴に感じる疑問やナゾを、この本の中で推理していこうと思います。これまでも、『古事記』に描かれる神話ついては、学者たちのあいだで様々な検討や解釈が為されてきましたけれども、ここでは、かならずしも学問的な解釈ということではなく、正解不正解を恐れることなく、大胆な推理をたのしみたいのです。
それでは、さっそく、はじめてみましょう。どうか皆さんも、「古事記に秘められた神話のナゾ」を推理して、古代の日本人が、どんなことを感じ、どんなふうに生きていたのか、自由に想像をめぐらせてもらえたらと思います。
『古事記』の「上つ巻」、そこにはまず、「神々の誕生」が描かれていきます。
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