エピソード①神々の誕生

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【神の出ずるところ】 『古事記』上(かみ)つ巻(まき)は、このようにして、はじまります。  世の中は、まだ、天と地がひとつになった、混沌(こんとん)の中にあったようです。やがて天と地がふたつに分かれ、そこに、最初の神々がすがたを現します。参考までに、『古事記』の、もとの文を書いておくと、こうあります。 「天地(あめつち)初(はじ)めて発(ひら)けしとき」 「天」は、「あめ」と読み、「地」は「つち」と読んでいます。と、書いてしまうと、実は本末転倒で、『古事記』の神話は、まだ日本人が「文字」を持つより以前に語り継がれていたものと考えられますので、もともとの「あめ」という日本語を、「天」という、中国からわたってきた漢字に置き替え、「つち」という日本語を、漢字の「地」という文字に置き替えたことになります。『古事記』の原文は、すべて漢字で書かれていますが、この「古い時代の日本語を漢字に置き替えて、文字として遺す」という、たいへん貴重な作業のおかげで、いま、こうして私たちは文字の上で日本の神話を知ることができるわけです。ただし、もととなった日本語の意味と、そこに充てた漢字の意味は完全にイコールではないために、それが『古事記』を読む解く上で「ナゾ」となって立ちはだかってくることがあります。まずは、そうした「文字」からくるナゾを解いていきたいと思います。  
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