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まず、「産巣・むす」は、「生じる」と読み解きました。『君が代』の歌詞には、「苔の生(む)すまで」という一節がありますが、その「生す」です。現代では「苔がはえる」と言いますが、この「はえる」も「生える」であって、「生じる」「産む・生まれる」ということです。「産巣日・むすひ」には「産」という漢字が充てられていますので、「むす=生す」という解釈にはうなずける気がします。ちなみに、「むすこ」「むすめ」の「むす」も、もとは同じで、「むすこ=生す子」で「生まれた男の子」、「むすめ=生す女」で「生まれた女の子」という意味とされます。そして「産巣日・むすひ」は、現在の「結・むすび」という語のもととなった語であり、それは「何かと何かが結ばれ合って、何かを産む」という意味に解釈したのです。
現代では、「むすび・むすぶ」という語は、「紐を結ぶ」とか「縁を結ぶ」とか、異なったふたつのものをひとつにする、という意味で使われますが、そこから一歩さきに進んで、「結んで、産む」「結ばれて、生まれる」と理解したわけです。
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