エピソード①神々の誕生

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 と、ここまで読んだたところで、こんなことを感じた人もいるのではないでしょうか。 「ホー、ホー」は、サンタ・クロースの笑い声ではなくて、「フクロウ」の鳴き声ではないか、と。  では、そう感じた人に尋ねます。あなたは実際にフクロウの鳴き声を聞いたことはありますか? 尋ねておきながら自分で答えるのもおかしな話ですが、私は、フクロウが鳴く声を、実際に聞いた記憶がありません。もしかすると、テレビや動物園なんかで、一度や二度は聞いたかもしれません。が、「記憶」ということで言えば、やっぱりフクロウの声を聞いた記憶はないのです。にもかかわらず、やっぱり私も「ホー、ホー」と聞けば、まずそれは「フクロウの鳴き声である」と認識します。どうしてでしょう?  それは、私たち日本人が、「フクロウの鳴き声」として「ホー、ホー」という音をイメージする、そういう「文化」のもとで育ったからです。だから、いちいち考えなくても、「ホー、ホー」と聞けば、そこにフクロウをイメージするし、同時にそれは、フクロウが活動する「夜」であるとか、フクロウの特徴である「大きな目」であるとか、昼間見るフクロウは眠っていることが多いところから「昼寝」「居眠り」であるとか、そうしたイメージが無意識のうちにひろがっていきます。つまり、そうやって、私たちは、外界……私たちの外にひろがる世界を認識して、イメージの輪に取りこんでいるのです。
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