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ですから、「フクロウの鳴き声」とされる「ホー、ホー」も、もともとは、フクロウの鳴き声の特徴からとったものではありますが、いったんそれが私たちの「文化」として定着してしまえば、実際にフクロウの鳴き声を聞いたことがない人(たとえば、私)であっても、本当にフクロウが「ホー、ホー」と鳴くかどうかが問題ではなくて、その音が「フクロウ」というイメージと結ばれることのほうが重要となってきます。「重要」というのは、そうやって私たちは「言語」を習得していくからです。犬や猫の鳴き声「ワンワン」とか「ニャー」なども、よく聞いてみれば、実際に、犬や猫は、その「音」のとおりに鳴いているわけではありません。それでも私たち日本人にとって「ワンワン」は「犬」のことだし、「ニャー」は「猫」をあらわします。それは、私たちが「日本人」だからであり、「ワンワン」「ニャー」は日本語であるからです。世界の言語ごとに、犬や猫の鳴き声は異なる音として表現されていて、ですから、よその国の子供に「ワンワン」と言って聞かせたところで、かならずしも、その子の中で「犬」がイメージされるわけではないのです。
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