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【神話と笑い】
人類が言語を獲得したことこそ、ほかの動物にはみられない、人類ならではの大きな特徴となりました。ここで推理した「ひ」……「音」としては、ただそれだけです。ところが、その「ひ」という音は、ときに太陽をあらわす「日」となり、ときに生活に欠かせない「火」となり、同時にそれは、「日」や「火」への「感謝・敬意・畏れ」を抱く神聖なものとしての意味をあわせもつようになった。また、「ははは」「ひひひ」と、その音を連ねてみれば、現代の私たちが感じる「笑い声」へと、その意味がひろがってもいきます。もちろん、神話時代に生きた人々が、現代人とおなじように「ははは」「ひひひ」という音をもって「笑い声」という意味に受けとめたかは分かりません。それでも、「笑い」もまた、神聖な祭祀や儀礼において重要な役割をはたすものであったことを、我々はこのあと『古事記』の神話の中に見出していくことになります。
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