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「クマさんの原稿は、もうできたの?」
「おおよそのところはね」
「中学生から読めそうな感じ?」
「んー、高校生ぐらいからかな」
「え? そうなの?」
月渚が尋ねた。
「いや、自分ではよく分からない。中学生でも高校生でもないからね」
「そっか」
「じゃあ、こうしたら?」
ノエルさんが言った。
「月渚と亜美ちゃんに読んでもらって、分からないところは、クマさんとの質疑応答にして、そのまま書いちゃうっていうのは?」
「そうか、そのテがあるか」
「そう、いま、ふたりが幼稚だって話をしてたとこだから」
「『幼稚』じゃなくて、『若い』んだよ」
また月渚が抗議して言った。それを相手にせず、クマさんが言った。
「じゃあ、お願いしようかな、さっそく」
それで、月渚と私で、クマさんの原稿を読ませてもらうことになった。だから、この本のあちこちに、月渚と私の「ちゃちゃ」が入るということだ。おとなになったいまでも、やっぱり『古事記』なんてむずかしい。できるかな、私たちに……そう思って、月渚と私は顔を見合わせた。
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