罪深き者の不安

12/13
前へ
/13ページ
次へ
踏ん張って顔を上げると目の前に小さな机の前に手を組んで少年が座っている。同時に彼から左横には裁判で見る証言台のようなものも目に入った。 その2メートル手前に背もたれの付いた黒い椅子が置かれている。 眼前の人数が多ければ大企業の面接のような配置である。 少年は中性的な美しさを持ち、眉目秀麗で聖徳太子のような装束をしていてにこやかにこちらを見ている。 その傍らには金剛力士像を生身にしたような諸肌脱ぎの偉丈夫な男が侍(はべ)っていて対照的に研次を睥睨(へいげい)していた。 男の右手は黒い棒の細い部分を握りしめていて、左手は反対側を支えるように下から持ち上げており、地面と平行になったそれはやや太めのバットを連想させた。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加