罪深き者の不安

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老人が酒を注いでいるのも構わず、研次は簡単な礼を口にすると皿のものを箸で大きめに切り、取り皿に載せると机に一旦置くこともせず、大きく開けた口へと料理を運んだ。 そして咀嚼(そしゃく)を三回もしないうちに 彼の顔は皺(しわ)だらけの歪んだものとなり、さらに次の瞬間、彼は憚(はばか)る間もなくそれを吐き出した。 『・・なんだコレは!?』 研次はその食物に香りからは想像のできないような異物感を覚えた。いや、口中に入ってから全く別のものに変わったように感じた。 これは凡(およ)そ食べ物の味ではない。 例えるなら藁(わら)の入った粘土に古臭い油を混ぜたような、そんな代物だった。
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