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研次の左の視界から2メートルはありそう大男が姿を現した。
彼は研次が少年時代に漫画で見た、古代中国の山賊を思わす黄土色のラフな服装に黒く太いベルトのようなものを締めた出で立ちで、腰には大刀が下がっている。
虎が吠えるような声と上から睥睨(へいげい)する眼は研次のいきり立つ感情を瞬時に消し去った。
「官吏(かんり)の旦那・・」
店主は揉め事を収めそうな人物の登場に安心したように呟く。
「いや、俺はそこの爺さんにご馳走になってただけなんです!そしたら酷いもんを出すんで事情を聞いてただけですよ。」
先の発言から大男が店主の味方なのはほぼ間違いない。それを察知した研次はこの場を脱するべく、話を短く切り上げようと弁明に走った。
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