探偵テルツェット

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「え? どうして? 依頼人なんだよね?」  マリアはこちらを見上げながら首をかしげる。そして、微笑みを浮かべてから、両手でノブを掴むと全力で戸をしめに掛かる。  それに応戦しようとしたが、露わになった身体に思わず目を背けると、またしても背後に長身の女性が立っていた。 「立ち話もなんなので、ね?」  射るような視線に本能が危険を察知した。 「はい」  気がつくと、即答してしまっていた。 「とりあえず座って」  加島の言うとおりに応接用のソファに腰掛ける。  さっきまで二人があんなことをしていたソファだ。  正直、それだけでもかなり落ち着かない。  なのに、 「なんでわざわざ隣に?」  空いている向かいのソファを見てから、隣に座る加島を見る。 「嫌?」  すると、刺すような視線が返ってきたため、泣く泣く視線を落とす。いきなりのため口にも文句をつけられるような空気ではない。  マリアがシャワーを浴びる音をBGMにしながら、女性は自己紹介した。 「私が加島涼(りょう)。ここの探偵事務所の所長。そして……さっきのアレは」 「助手のマリアだよ。よろしく」  脱衣所からバスローブをまとったマリアが顔を出してピースしてきた。  なんで探偵事務所なのにシャワー完備なんだ?     
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