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疑問に思う点は山のようにあった。
「電話で依頼の相談があった中本恵理……さん」
「……え? あ、はい」
加島はテーブルに置いたメモ帳を見ながら訊いてきた。
「依頼は……知り合いの素行調査?」
「どんな子? 学生? もしかして彼氏?」
バスローブ姿のまま隣にどんと腰掛けてきたマリアが肩に手をかけて訊いてくる。もう片方の手には温めなおしたピザ。
コイバナ好きの女子高生のようなノリで、そのピザをもきゅもきゅ頬張る。
だからなんで向かいに座らないんですか?
視線の怖い長身女性に、獲物を前にした小悪魔のような少女。
探偵事務所をうたっているが、まったくそれらしくない二人を前に、思わず考え直そうかと躊躇する。
ふと、先刻の言葉を思い出した。
“おすすめしないぜ”
お兄さん、せっかくの忠告を活かせなくてごめんなさい。
けれど、素行調査なんて警察には頼めないし……なによりこの二人じゃないと――
意を決しバッグからファイルを取り出した。
「お、お願いしたいのは……“彼”の素行調査です」
見せた写真に映っているのは、黒髪短髪の男子学生。
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