0人が本棚に入れています
本棚に追加
あれ、そんなこと言ったっけ?
「そうなんたって業務の六割は不倫調査とその報復活動……なんだけど、あれ?」
こちらの反応をうかがっていたマリアは、
「“彼”の素行調査って言ってたし、てっきり……」
「別に付き合っているわけではありません」
ってか、今しれっと“報復活動”って言った?
「はは、ごめんね早とちりだった。な、涼ちん?」
「あ、そうだな」
加島は首をぶんぶんと縦に振る。
「で、どうかなー?」
マリアが白い歯を見せる。
「依頼、してくれる?」
思わず目を閉じる。
ここに来る前に、できることは全部やる。そう決めた。だから、
「……ひとつだけ条件があるんですけど」
「なになにー?」
「彼にはなにがあっても一切接触しないで欲しいんです」
普通の探偵だったら、こんな条件必要ないだろうけど……。
「そんな条件? 大丈夫大丈夫! こう見えて信頼と実績はあるんだよ?」
「ああ。依頼人の条件は絶対に守るよ」
真剣そうな黒と青の瞳。
少考。そして答えは――
最初のコメントを投稿しよう!