探偵テルツェット

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 あれ、そんなこと言ったっけ? 「そうなんたって業務の六割は不倫調査とその報復活動……なんだけど、あれ?」  こちらの反応をうかがっていたマリアは、 「“彼”の素行調査って言ってたし、てっきり……」 「別に付き合っているわけではありません」 ってか、今しれっと“報復活動”って言った? 「はは、ごめんね早とちりだった。な、涼ちん?」 「あ、そうだな」  加島は首をぶんぶんと縦に振る。 「で、どうかなー?」  マリアが白い歯を見せる。 「依頼、してくれる?」  思わず目を閉じる。  ここに来る前に、できることは全部やる。そう決めた。だから、 「……ひとつだけ条件があるんですけど」 「なになにー?」 「彼にはなにがあっても一切接触しないで欲しいんです」  普通の探偵だったら、こんな条件必要ないだろうけど……。 「そんな条件? 大丈夫大丈夫! こう見えて信頼と実績はあるんだよ?」 「ああ。依頼人の条件は絶対に守るよ」  真剣そうな黒と青の瞳。  少考。そして答えは――
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