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探偵テルツェット
第一章
平日午前の閑散とした児童公園。
ベッドタウンの一角。通行人も少なく、その中にある公衆トイレの個室から時折漏れる声に気付く者はいない。
「ここは絶好のスポットでね。この時間だけ潮が引いたように人通りが少なくなるんだ」
サラリーマン風の男はまるで諭すように言う。
「大丈夫。病気とかの心配はないから、安心して。僕は潔癖症でね」
女子トイレの個室の中、男は女子高生の口をガムテープでふさぎ、耳元で囁く。
「基本的に狙うのは初物っぽい子だけなんだ」
「ん、んぐっ……!」
少女は必死に抵抗する。
だが、手錠をかけられ成人男性の体重の乗ったマウントを外すことはできない。
ベルトをはずす音。はぎ取られる制服のスカート。
少女の抵抗が激しくなる。
「君も愉しんでくれているんだね……うれしいよ……」
男はその抵抗さえ身勝手に解釈し、彼女の四肢に触れる。
ガチャ。
急に背後からドアの開く音が聞こえた。
「え?」
振り向き際、女子高生の笑うような瞳が一瞬目に映った。個室の鍵を彼女が足で開けていたことに男は気付いていなかった。
個室の前に立っていたのは、シャツにレギンス、スニーカーとラフな格好をした長身の女性。
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