504人が本棚に入れています
本棚に追加
【クラウル編】記憶探し
項垂れて戻って来たクラウルを、何故か第一師団のアシュレーが待っていた。
だが、あまりに失態顔だったようで何か声をかけようとして失敗していた。
「あぁ、悪い」
「いいえ、お気になさらず。昨夜はお疲れ様でした。新年の挨拶回りの途中だったのでは?」
「いや、それは終わっていたんだが…」
どちらかと言えばその後が問題だった。
苦笑したクラウルはふと、「昨夜は」という言葉に反応した。
ガバリと顔を上げたクラウルにアシュレーの方が驚いたようでビクリと体を震わせた。
「昨夜は…ってことは、お前は昨日の俺を知っているんだな?」
「え? あぁ、やはり酔いが回っていましたか。いえ、お酒を召されていてあれだけの大立ち回りをすれば当然と言いますか」
「大立ち回り!」
昨夜の自分は何をしたのか。ますます混迷を極める所だが、不意に脳裏に「誰か!」という女性の声が戻って来た。
「…誰か、助けたのか?」
「断続的には覚えているようで、安心しました。俺も後から報告を受けて駆けつけたので、詳しい状況は分からないのですが」
「それでいい、話してくれ。あっ、暗府の執務室へ」
最初のコメントを投稿しよう!