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―東京国・極限武装兵器『方舟』戦闘指揮所ー
B2マザーブース戦闘指揮所と、B1電子制御室は吹き抜けになっている。
海中209mに建造された施設の天井は丸みを帯びていて、この前線基地が球体であることを示している。
照明は全体に青みがかった白色灯で暗い。
吹き抜け中央部・B2マザーブース床面に貼られた、美津島石を利用した磁性板から昇る青白い光。
その上空に浮かぶ巨大な地球のオブジェは、ゆっくりと自転をしている。
周囲の塵の様な物体は、世界各国が打ち上げた人工衛星で、静止しているものもあれば、自転周期に合わせて移動しているものもある。
赤く点滅する人工衛星『りんね』は、日本上空を沿うようにして離れない。
円筒型の透明なシールドで囲まれたこれらのオブジェは『Mother』と称される人工知能を搭載しており、B1、B2の構造は、Motherを取り囲む様に各ブースが並ぶ。
B2戦闘指揮所は、機密情報が集約されるエリアのため、搭乗員の立ち入りには制限がかけられているが、指揮、発令はここより出されることとなる。
巨大モニターには、関東エリアの人口流動域がリアルタイムで地図上に示されており、ヒト生命体を表す青い点は『エンゼルポイント』と呼ばれる。
隣接するB1電子制御室の砲撃科と、りんね管理科。
各オペレーターは、情報を共有しながら解析にあたっていた。
他にも情報科・気象観測科・機関科・補給科・1次攻撃科が配置されていて、Motherに背を向ける格好で隊員らは任務に就いていた。
淡々と『方舟』内に反響する声と、規則的に聞こえる信号音。
その正体は、5分毎に書き換わる攻撃対象区域の人口統計数であって、B2モニターに表示される。
江東エリア・36780。
笠井砲術士の声がする。
『美津島シールド域、ディフェンスとの誤差微動修正、幅110520』
ボール型コントローラーを捻るりんね管理科畑。
彼女の手はしなやかながら、声は機械のように冷たかった。
『美津島シールド域微動修正。110520維持』
人口統計数が変わる。
江東エリア・27111。
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