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情報科寺沢のレーダー画面は、接近する2機の航空機を捕捉し続けていた。
『レーダー目標探知。120度に2機。進路真っ直ぐ近づく。高度そのまま』
砲術士笠井は、その情報を受けて1次攻撃科小林に分析を急がせた。
小林は間をあけずに言った、
『目標2機は報道機関のヘリと判明した、木更津辛島隊より確認』
砲術士笠井は、とっさの判断を迫られていた。
『対空戦闘配置維持したまま。引き続きG線放射攻撃態勢を維持』
1次攻撃科小林の声と、りんね管理科畑の声が交互に聞こえる。
『対空戦闘配置そのまま』
『超エネルギー銀河宇宙線照射攻撃態勢維持。G線照射攻撃態勢そのまま』
砲術士笠井は、額から流れ落ちる一粒の汗を舐めた。
人間の味だと思いたかった。
人員不足なのは東京国も同じだった。
寄せ集めの武装集団で終わるか否かは、この作戦に掛かっている。
そんな思いが去来する中で、選抜攻撃隊の勇姿に感慨を覚えていた。
家族達を守り抜くには、もはや東京国を独立させる以外に道は無い。
実際、笠井の妻や子も、東京国渋谷エリアのホテルに身を潜めていた。
そこは、兵士達の家族がコミュニティーを作り上げていた。
笠井は砲術士として・・・正確には臨時の指揮官としての責務を果たす事だけに集中した。
『美津島シールド域。ディフェンスとの誤差更に修正。幅97783維持』
りんね管理科畑の声が続く。
『美津島シールド域修正。幅97783』
再び変わる人口統計数。
江東エリア・15342。
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