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新国家日本新党の党員や親衛隊、そして『方舟』戦闘指揮所の隊員や、日本国際テレビ局で待機する、選抜攻撃隊の兵士達は其々において、人の死というものを少なからずも経験し、絶望と希望を胸に秘めた普通の人間だった。
選抜攻撃隊の兵士達は、死は始まりに過ぎず、魂は輪廻と共に宇宙へと繋がっていると信じ、その根拠を尋ねられたなら皆同じ答えを出すだろう。
ー東京事象がそれを証明している、彼らは消えたのでは無い。勿論死んでしまった訳でも無い。
時間空を超えて、新たな世界へ魂と肉体が転生したのだと。
衛星おおすみから採取された『美津島石』が全ての始まりであり、第5の塩基の発見が、生命の謎を解き明かし宇宙の法則をヒトと結び付けたのだー。
テレビ局のスタジオで待機する兵士達は『転生』という思考に一切の疑念を抱くことはなく、死を恐れるといった考えもなかった。
ところが。『方舟』の人間達は違っていた。
極限武装中立国『東京国』の要となる存在が『方舟』であり『軍事衛星りんね』なのだ。
また、中国からの資金援助を受け、日中双方の技術者によって開発された兵器の実験の失敗で『東京事象』が発生したとされてはいるが、事実は異なる事も皆知っていた。
新国家建国を目論む野見山、槙野恵子、上念F海斗、そして、殺害された島本真司(弦巻オサム)等の首謀者達は、桂木内閣と、日本に在住する中国軍技研幹部達の粛清の為に『東京事象』を引き起こした。
明石や桂、そして韓洋の協力もあって世紀の実験は成功した。
しかし、その権力者達は更なる野望も抱いていた。
『極限武装兵器方舟・技術提供とシステム輸出に関する取りまとめ』
である。
それを知った、東京国総監である槙野恵子は、直ちに3名の粛清を決断した。
『方舟』は東京国の生命線であり、新世界を創造する核たる存在なのだ。
その思いを戦闘指揮所の隊員達は共有していた。
『リアリスト』
彼らは、自分達をそう捉えていた。
核の傘に守られる世界は、その脅威を人々が知らなければ存在しなかったであろう。
方舟に守られる世界も同じで、地球上の人類は東京事象を目撃した時点で、新たな創世記のページを開いてしまった。
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