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東京国際テレビ局第2スタジオで、雪丸亜久里は宇宙という未知の世界に感謝し、仮に神が存在するならば、人間という生命を創り上げたその苦行に敬服せざる得なかった。
死を恐れはしない。
死は人間が創り出した虚構の産物であって、生命は普遍的でドラスティックな変化を伴いながら進化し続けるのだ。
それを輪廻転生と呼ぶ宗教家もいるがそうではない。
自然現象に過ぎない魂の時間空移動。
宇宙には第1、第2、第3の現世世界が存在し、生命体それぞれの魂は『中核態』として人間が忌み嫌う『死』を迎えた瞬間、次なるステージ・未来へと進行する。
それらは、らせん状に永遠に繋がっていくのだ。
生命の真髄を図式にして教えてくれたのは上念だった。
『ほら、これ見たことあるでしょう!そう!必ずモノには真髄があるんです。それに気付くか気付かないかで運命は決まる!宿命!?馬鹿馬鹿しい!これが真髄なんですよ!宇宙は、魂は中核態のコミュニティーでしか無い!この形はほら!!ほら!遺伝子そのものでしょう!ねえ、雪丸さん!』
上念の迫力に、雪丸は脱帽した。
天国や地獄も存在しない。
そういう風にも聞こえた。
あの日に殺した理髪店の金魚に、これ以上供養をしなくても済む。
そう思わせてくれた世界観にも救われた。
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