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「……許さない」
ルルキアを抱きあげたミシェルカ姿が、人間から獣へと変わっていく。
華奢な身体が熊の様に大きくなり、美しい顔は鋭い牙の生えた狼の顔へと変わる。
その逆立った毛並みと、歯茎をむき出しにして唸る姿は、まさに獲物を捕らえた肉食獣。少しでも動けば、白髪の男性に飛び掛かり。食いちぎりそうな空気だ。
「ヒヒッ!マジで化け物じゃねぇか。いいねぇ~殺してみたい」
だがそれでも、白髪の男性は全く臆することなく。寧ろ獣に戻ったミシェルカを見て楽しんでいる。
獣を狩る狩人とは全く違う。ただ、自分より強そうな者を殺したいだけという。自己満の異常者。仮面で隠れたその眼はきっと、狂気に歪んでいることだろう。
「ほらほら来いよ~化け物。殺さねぇ程度に切り刻んでやるからよ」
片手でナイフをくるくる回しながら、白髪男はミシェルカを挑発する。
獣へ戻り。理性さえうまく働いていないミシェルカは、彼の挑発により怒りをあらわにして、飛び掛かろうとした。
だがその時。ミシェルカの破けたドレスを弱弱しくも掴んで離さない手が、彼女の意識を戻した。
「ルルキア……?」
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