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「オイ、本当は何があった?」
「……本当も何も、ミシェルカ様はご無事ですよ?怪我一つありませんでしたし、心身ともに健康でした」
「じゃあ姫さんをここに呼べ」
「申し訳ありません。それは出来ません」
「なんで」
「ミシェルカ様は昨日から外出中です」
「え……」
ルルキアの心臓が、不安の音で煩く鳴り響く。
あの姿で、しかも一人で、外に出るなんてただの自殺行為なはずなのに。
「なんで!なんでアイツは外に!しかも昨日から帰ってないって!?」
「あまり大きな声を出されると、傷に響きますよ」
「っ……チッ」
疼く痛みと、セバスの言葉に、少し冷静さを取り戻したルルキアだが。不安だけは一向に消えない。
「あぁもう!馬鹿姫!なんで私が寝てるときに限って……」
「……お迎えが、来られたのです」
「は?迎え?」
嫌な予感がルルキアを襲う。
「はっ、はは。お迎えってなんだよ?まさか、本当にガラスの靴を持った王子様が迎えに来たとでも言うのか?ははは」
冗談のつもりで言って、ルルキアは鼻で笑う。
だがセバスは、そんなルルキアの冗談を冗談で返してはくれなかった。
「その『まさか』でございます。ルルキア様」
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