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「やぁ。久しぶりだな我が娘よ」
「ずっと会いたかったわ」
きっとあながち嘘ではないのだろう。けれど、きっと本心でもない。
ミシェルカの父親と母親は、約二年ぶりに見た娘の姿に表情がほころんではいるが。その空気は決して和やかなものではないと、娘であるミシェルカが一番感じていた。
結局彼らが一番愛してやまないのは、自分達の地位。
醜い姿になった自分の娘など、もう血の繋がりすら感じたくもないだろう。
そんな事、もう分かっている事だ。
だからこそ、ミシェルカは怒りを抑えることが出来た。寂しさも悲しさも感じる事無く、二人の前に立つことが出来たのだ。
「こちらこそ。また会えて嬉しく思っております」
きっともう、ミシェルカは自分を捨てた親を愛することはないだろう。
「それで?一体どのような用事で私を呼び戻されたのですか?」
一刻も用事を済ませ、ルルキア達が待つ城へと帰りたかったミシェルカは、早速本題に入る。
「おぉそうだったな。オイ、王子を呼べ」
「かしこまりました」
ミシェルカの父親の命令で、一人の兵士が部屋から退室する。
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