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「なんで!そんなに短いのよぉお!!オカシイでしょ?行ってもすぐ帰らなきゃいけないじゃない!そんなんで男捕まえれるわけないでしょうが!!」
何度も首を振り回され、ルルキアの顔色は余計悪くなっていく。
「し、仕方ないでしょ。これが限界なんですって。ほらアレ、とりあえずガラスの靴置いときましょ?そしたらきっとどっかの王子様が姫さんを迎えに来ますって」
「いや。来たとしても、獣に戻った私の足に入るわけないでしょ?」
「あぁそうか。盲点だった」
「馬鹿!ホント馬鹿!」
今度はルルキアの胸辺りをポカポカと叩き始めるミシェルカだが、こんな事をしている間にも時間はどんどん過ぎてゆく。
「あぁもういいから!とりあえず最後の仕上げしちゃいますんで、ジッとしていてください」
「むっ。分かったわよ」
まだ納得は出来ずにむくれてはいるが、ルルキアの言葉にミシェルカは渋々腕を下ろして、その場で力を抜いて瞼をソッと閉じた。
「じゃあいきますよ」
曲がっていた腰を真っ直ぐに正して、ルルキアもまた瞼をソッと閉じる。
そして杖を地面へコツンッ。と叩いた瞬間。
ミシェルカを包み込むように、紫の花びらが不思議な風と共に吹き荒れ始めた。
「艶麗(えんれい)であれ、威容(いよう)であれ、盈盈(えいえい)であれ。その風采を、美しい花の様に舞い踊れ」
コツン!!
言葉を紡ぎ終わり、もう一度杖を叩く。すると、先ほどまで身に纏っていたヨレヨレのドレスが散り散りになりながら。変わりにバイオレット色のドレスがミシェルカを鮮やかに包み込んだ。
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