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確かに、と何故か白井の言葉が腑に落ちてしまった。冷静に考えてみれば瀬那もさっきの東谷も、体系的な起伏はかなり大きい。女性的な魅力が強いというのか、とにかくあの二人はそういった具合だ。
対して壬生谷はどうかと言えば、正直言って女性的な魅力はそこまで無い。実際話してみればまた違うのかもしれないが、見た目の方は……言い方が悪いが、完全な幼児体型。何となく読めてきた白井の趣味嗜好を考えれば守備範囲外なのはよく分かるし、何故だか一真も同意できてしまう。
「――――ほらほら、席に着けお前ら」
とかなんとか話をしていると、西條教官がもう一人の男性教官を伴って教室に入ってきた。一緒になって瀬那も戻ってきている。
「おっと、もうこんな時間か。じゃあ続きはまた後で、だ。これからよろしくなっ、一真!」
ニッと笑って席にそそくさと戻っていく白井に「おう、また後でな」と一真は返してやると、そうした頃に席に戻ってきた瀬那に「なんだったんだ?」と軽く声を掛けてやる。
「……なんでもない、ただの些事だ。其方が気に掛けるようなことではないぞ、一真」
そう言う瀬那の顔色が、行く前よりも少し暗く思えてしまった一真は何か瀬那に呼びかけてやろうかとも思ったが、教壇の方から漂う西條の圧力に屈し、そのまま前を向かざるを得なくなった。
「よし、全員揃ってるな。――――さあ、オリエンテーションを始めるとしようじゃないか」
/6 Int.06:敢えて火中の栗を拾うか
西條に連れられて瀬那が訪れたのは、昨日も来た校舎二階の談話室だった。
「折角だ、珈琲でもどうかね?」
西條にそう尋ねられるが、ソファに座る瀬那は「お気持ちだけ」とその申し出をやんわりと断った。
「さて、と。私が君をここに呼び出した意味……分かるな?」
自分の分のインスタント珈琲の入ったカップを携えながら戻ってきた西條は、瀬那の対面に腰掛けるとシリアスな顔でそう問いかけてくる。
「……承知しております」小さく頷く瀬那。「実家の……綾崎家のことでしょう」
「肯定だ」頷いた西條は一口カップに口を付け、珈琲を軽く喉に流し込んでから、本題に移る。
「といっても、特に向こうから連絡があったとかじゃない。あくまでも、私から君への最終確認だ、瀬那」
「教官殿……」
「二人しか居ない、ここでは教官呼びはやめてくれ」
「……舞依、最終確認とは?」
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