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それから寮の部屋へ戻るまでの道すがら、一真と瀬那とは色々なことを話した。先程のアクシデントのことだとか、「あの件は事故だと分かったのだから、仕方の無いことだ。私も混乱していたといえ其方に斬りかかってしまったことだし、お互い手打ちということにしよう」なんてことも瀬那は言ってきた。
「そういえばさ、瀬那? さっきから気になってたんだけど」
「ん?」訓練生寮が大分近くなってきた頃、隣を歩く瀬那に対し一真がこんなことを訊く。
「なんで刀なんてぶら下げてんだ?」
「ああ、これか」瀬那は制服スカートのベルトから鞘ごと刀を抜き、感慨深そうにそれを眺める。「私の刀が、どうかしたか?」
「いや、ちょっと気になってさ。日頃から帯刀してる奴なんて、初めて見たから」
「ふむ」瀬那は少し唸ると、「だが、TAMSパイロットとなる者なら、いずれは提げることになるだろう?」と返してくる。
「まあ、そうなんだけどさ……」
――――人型ロボット兵器・TAMS。それに乗り込む者、特に日本国防軍に属する者となれば、訓練期間を終え正式任官されると、正式パイロットの証として小振りな脇差を一本贈与されることがしきたり《・・・・》となっている。
尤も、それはTAMS用の巨大な刀である対艦刀を製造する際に出た端材を利用した物で、誂えももっとシンプル。瀬那が今も携えているような、明らかに玉鋼で打たれた伝統的なサムライ・ソードとは訳が違う。
「私にとってはお守りのようなものだ。一応、教官殿から許可は頂いているが?」
「へえー……」
まあ、許可を得ているというのなら、そこまで気にすることはないのだろう。アレで斬り付けられた時は避けるのに必死で考えもしなかったが、今に思い返せばあの時の瀬那の太刀筋は、随分と綺麗だった。もしかしたら、剣術の心得があるが故の帯刀なのかもと一真は推測した。
「ところで」
今度は瀬那の方から話しかけてきた。「弥勒寺は何組に割り当てられたか、聞き及んでいるか?」
「俺だけ下の名前で呼ぶのもアレだし、一真でいいよ。
――――うーん、確かA組だった気がするけど」
すると、瀬那の顔がぱぁっと見るからに明るくなる。「真か!?」
「うん、さっき案内される前に訊いた。例の西條教官から。……もしかして、瀬那も?」
「ああ!」大きく瀬那が頷く。「弥ろく……一真。其方と同じく、私もA組だ」
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