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「へえ。なんか嬉しいな、こういうのって」
「実はまだ、私は友というものがここで出来ていないのだ。しかし一真、其方が同じクラスであるのなら、少し安心したぞ」
「友……?」一真は瀬那の言葉の一部を、反芻するように呟いた。「俺は、瀬那の友達になってもいいのか?」
「ん?」それに瀬那はあからさまな疑問符を浮かべ、「なるもならないも、先程名を交わした時点から、既に私たちは友でないのか?」
「あーいや、実感が無くてさ……。勿論、瀬那が許してくれるのなら、俺も瀬那の友達になりたい」
瀬那はフッと小さく笑い、「なりたいも何も、私は既に友だと思っているが?」
「……そうか」
――――既に友だと思っている、か。
そんな瀬那の言葉が、何故だか無性に嬉しく思えてしまう。
「じゃあ……瀬那?」
「ん」瀬那の金色の瞳が、こちらを向く。
「改めてだけど、これからよろしくな」
「……ああ! 私の方こそ、よろしく頼むぞ、我が友よ」
歩く二人の隣を、巨大な影が追い越していく。二人を軽々と追い越した身長8mの巨人は、日本国防陸軍の主力TAMS、JS-1≪神武≫。その訓練機仕様であるJST-1≪新月≫だ。
――――ここは、普通の学校ではない。
その事実を身を以て味合わせるように、巨大な人影が真横を通り過ぎた。戦争のための兵器、それに乗るべく育てられていく自分たち……。
急な突風が吹いた。桜の木から飛び散った淡い色の花びらが宙を舞い、桜吹雪となって降り注ぐ。春爛漫の陽気の中で一真たちを出迎えたのは、決して希望に満ちあふれた青春の入り口ではなかった。
/4 Int.04:セレモニー/若き勇士たちの捧げし誓い
――――そして、迎えた入学式当日の朝。
「さて、まずは諸君におめでとうと言っておこうか」
体育館に集められた国防陸軍・京都士官学校の今期新入生一同はズラッと並べられたパイプ椅子に腰掛け、壇上に立つ西條教官の言葉を聞いていた。昨日もそうだったが、西條は医官でもないのに何故か白衣を羽織っている。しかしそれを咎める者は他の教官らも、まして新入生にも存在しない。
「これで、晴れて諸君らは我ら誉れ高き国防陸軍の一員となる。TAMSパイロットを目指す者も居れば、戦術オペレータを志す者、または整備メカニックの道を歩まんとする者も居るだろう。
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