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「うるせぇんだよ!問い合わせるな!」
男は財布無理やりを取り上げ、押し倒した。すると掃除ロボットは電信柱に頭部を打ち付け、強い衝突音と共に首から折れてしまった。
「ピッ・・・ピピ・・・」
途切れ途切れの電子音がして、首の割れ目からはモータが空回りする音が漏れた。
哀れな姿を気にも留めず、男はそのまま逃げようとするではないか。
「おい!」
「ん?」
鋭い目でこちらを睨む。
「待てよ。」
俺はそのロボットに近づき、しゃがんで首の破損個所を覗き込みながら男に聞こえる声で言った。
「このロボが、どうなったかわかるだろう?」
「なんだと?」
今日は非番で私服。相手は俺が誰だか知る由もない。
財布を取り出し、身分証明書を見せた。
「器物損壊罪で逮捕だ。こいつのAIに意思があれば傷害罪もあり得る。」
男に手錠をかけ、路上でしばらく待っていると、パトカーが目の前に停車した。
しかし、そこには誰も乗っていない。
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