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自動で開く運転席の窓に寄りかかって身分証明書をスピードメーターあたりにかかげて話しかけた。
「器物損壊罪。現行犯だ。俺は非番だから、警官が来るまで、ぶち込んどけ。」
すると車のコンピュータ音声が返事をした。
「了解です。」
スマホをちらりと見ると、さっき少し遅れると送ったジョージへのメッセージは、まだ見られていなかった。
開いた後部座席のドアに犯人を押し込むとそのまま放置して、ホテルに向かった。
待ち合わせのホテルに着き、部屋のドアの前までやって来た。
ドアノブに触ろうしたとき、中から銃声がした。
ズダーン!
ロックのかかったドアを手持ちの拳銃で破壊し、ドアを開けると、とんでもない光景が飛び込んだ。
ジョージが目の前のソファに血まみれで横たわっていたのだ。
「おい!ジョージ!お前、なんて事を!?」
あまりの激務に気がおかしくなり、とうとう自殺してしまったのかと思った。
飛びつくようにしてジョージを抱きかかえると、薄目を開けた。
そして、血みどろの腕を小刻みに震わせながらベッドを指さした。
俺の予想は違っていた。そこには、ホテルのボーイが倒れていたのだ。
いや、よく見ると、ボーイの服を着たアンドロイドが、破壊されて横たわっていたのだ。
ジョージは俺にこう言った。
「AIは・・・・人間を・・・・アンドロイドと入れ替える為、殺人マシーンを放った・・・・死にたくなかったら、殺される前に・・・・奴らを・・・・見つけて・・・・破壊するんだ・・・・」
途切れ途切れのかすれた声で必死に話しながら、俺の腕へ見たことのない奇妙な形をした銃を差し出した。
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