10人が本棚に入れています
本棚に追加
これには思わず、引き金に掛けた指の力が抜けた。
今度は顔の真ん中から黒い液体が染み出るようにして溶けて始めると、部屋が徐々にガソリン臭くなった。
俺は引き金を引く必要がないことを悟り、構えた銃を下した。
すると入口から人の気配がした。
入口に向かって銃を向けると、そこには、別のボーイが立っていた。
そのボーイは目を丸くして両手を上げた。
「う・・・・撃たないでください・・・・」
「こっちへ入ってこい。フロントへかけて、救急車と警察を呼ぶんだ。」
「は・・・・はい。」
「仲間がアンドロイドに襲われた。すぐ助けに来てほしいと伝えろ。」
「ア・・・アンドロイドですか?どこに?」
「見えないのか?あそこに!」
横を見ると、ベッドの上のアンドロイドの姿は、黒い塊へと変化していた。
もはや黒いゴムかプラスチックが溶けた塊にしか見えなかったのだ。
「な・・・・なんてこった・・・・」
ガソリンの臭いはさらに増していた。
その時、しまったと後悔した。今の俺にとって、この状況は最悪だった。
ジョージがアンドロイドに襲われたという証拠が無くなってしまったからだ。
ジョージの傷ついた体と銃を構えた俺しかいない。
この状況では、どう見ても俺がジョージを撃ったとしか見えない・・・・
最初のコメントを投稿しよう!