プロローグ『13番目のチャンネル』

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小気味良い音と共に流れるのは字幕だけではない。 想いを載せた演者たちの夢と、それを微笑ましくも辛く観る視聴者たちの嫉妬と羨望の眼差し。 見世物小屋、サーカス、そしてインターネット。 時代を生きる人々は、いつだってそこに『ピエロ』を求める。 大量消費されるコンテンツの波に、乗り切れるかどうかは自分次第なのだ。 ここに、時代の波に乗りたいを思う若者がいる。 その男の名前は宗像晴臣(むなかた はるおみ)という。 物心ついた時に、自分が求めてた『なりたい自分になる』という夢だ。 いつまでも受け身じゃいられない、何かを変えたい。 一つ、自分の世界を飛び出して、挑戦してみよう。 この物語は、晴臣が動画投稿者として活躍し、そして死ぬ物語だ。 どうか真似をしないで欲しいと、願う。 そして、どこかで真似をしろとも願う。 物事に価値を決めるのは、自分次第なのだ。 問いに対する本当の答えはあるかもしれないし、ないかもしれない。 まず疑うことが大切だ。
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