ヤミクモノハテ

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 黎明はその足でEA-3Bの待つ上部格納ブロックへと向かった。  格納ブロックでは既に九〇一の隊員が集まっている。黎明はラフに敬礼。隊員もラフに敬礼を返す。  もう、大体は各々が乗る機体を決めているようだった。まぁ、性能はどれも同じだったし、識別型式表記くらいしか違いが無いから何でもいいか。  EA-3Bには、それとは別に機体識別名称(パーソナルネーム)の運用も義務付けられていた。機体そのもの、と言うよりは搭載されたAIの名前だ。  黎明は<流星(りゅうせい)>と、それを名付けた。  変な名前だとニーナは黎明に言った。何でそんな名前にしたのか。  黎明の答は「伊吹(・・)の艦載機だから」だった。「<烈風(れっぷう)>の名は三溝三尉に取られたしな」とも付け加える。  ニーナは首を傾げるばかりで意味が解らない。  そんな彼女を尻目に、三溝はニヤリと笑う。黎明も同じく笑って、二人は固く手を握りあった。ニーナの頭にはクエスチョンマークが飛び交った。  他の機体も名前が決まったようだ。黎明は一機一機漏れが無いか確認する。  三溝三尉の乗る一番機<烈風>。(三番機に乗れば良いのに)  寡黙な新居(にい)二尉(彼はにいにい(・・・・)と呼ばれたくないから早く出世したいようだ)の二番機<コブラ>。その由来は毒蛇(コブラ)の方ではなく、愛読している漫画の主人公の名前らしい。ヒューッ。  いつも凛々しい顔をしている相馬(そうま)一尉の三番機<ラキスト>。由来は愛用のタバコ(ラッキーストライク)からだそうだ。(空母内は全域禁煙であり、相当辛いらしい)  最後に自分の四番機<流星>。  以上四機。特に問題無くこの業務は適当(・・)に完了する。次は機体のチェックだ。  外見こそまるで違うが、アビオニクス関係は雑賀将補の言った通りF-3とほぼ同じであり、黎明にも辛うじて理解が出来た。外部の方は流石に解らなかったが。  各員は各々が名付けた機体に乗り込み、チェックを開始する。各機は腹部から太いコードを垂れ下げ、それで外部電源といぶきの大脳、小脳に接続されていた。  黎明も前部座席に座り、外部電力ユニットをON。計器、ディスプレイが点灯する。マスター・テストセレクタを機上点検モードにセット。スロットル-OFF、武装マスターアーム-SAFE。確認後テスト・プログラムを起動させる。
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